生きている意味がわからない。実存的虚無感に苦しむ成熟時代を生きる人々へ

♪なぜ生きていくのかを迷った日の跡のささくれ♪中島みゆきさんの『糸』ではありませんが、生きている意味がわからなくなるということを、皆様も何度か経験したことがあるのではないでしょうか。特に悲しい出来事があったわけではなくても、ふとした瞬間に物思いに耽るように考えてしまうことと思います。著者は生い立ちの影響からか、他の人よりも生きている意味を模索し続けてきた気がします。生きている意味が書かれた本を片っ端から読みました。生きている意味を数々の哲学者・心理学者・思想家が「幸せになること」だと述べていました。
beach-dawn-dusk-274053 (1)

あなたは、その答えに納得できますか?著者は理解はできても、納得できません。成長時代のように「幸せ」とはこういうものだというのがわかっているならいざ知れず、「幸せ」の定義が人それぞれに託されている成熟時代において、それは答えているようで答えていないのと同然だと思うからです。確かに「人生とは幸せになること」と解いた数々の哲学者・心理学者・思想家が生きていた時代は成長時代です。成熟された社会において、私達にとって生きる意味とは何なのかを今回は、生きている意味に悩んでいる著者とともに活学的に考えていきたいと思います。

関連記事▶「疲れた」「消えたい」「死にたい」と検索する人に送る、心を楽にする方法
お知らせ➤本を出版しました。実存的虚無感についても書いています

Contents

はじめに

art-attractive-beautiful-458381 (1)
お知らせ➤本を出版しました。実存的虚無感についても書いています
幸せとは何でしょうか。結婚・出産・出世どれも過去の幸せ像と化しており、今を生きる全員に当てはまる幸せではないということに異論はないのではないでしょうか。しかし、過去の幸せ像に引っ張られ「結婚すれば幸せになれるかも」「子供がいれば幸せになれるかも」「出世すれば幸せになれるかも」と思うことも多々あると思います。自分が望んでいるものはそこにないのは分かっているのに、試してみる方もいるでしょう。家庭のこと、仕事のことで忙しくなって、生きている意味を考える時間がなくなりプラスに映るかもしれませんが、忙しい時期が終わったときに「こんなはずじゃなかった」と思うのが関の山なのではないでしょうか。
alone-chatham-county-daylight-713108 (1)
著者は、結婚しても出産しても事業拡大しても有名になっても、結局変わらないことが目に見えているので、動きが取れずにいます。何をするのが良いのかわからなくて、残り60年も生きたくないという気持ちで胸がいっぱいになります。「私は何がしたいのか。本当に今のままでいいのか。結婚したからといって、子供を産んだからといって、この虚無感がなくなるわけではない。臭いものに蓋をして逃げようとしていることはよくわかっている。でも、答えが見つかる気がしない。逃げずに残りの人生を生きるのは長すぎる。結婚して子供を産んで20年育てれば、次は親の介護がやってきて、親の死を悲しんでいる間に自分の体にもガタがきはじめ、闘病してあっという間に人生が終わる。そして、最期には『いい人生だった』と思えるのだろう。何のために生きていくのか考えないで済む。それは素晴らしい逃げである。逃げたい」
backlit-dark-dawn-532303 (1)
生きるための逃げは有りだと活学では伝えています。著者が生きる意味を考え、苦しみ、生きられないというのであれば、生きる意味など考えることはやめた方がいいと師は止めるでしょう。しかし、乗り越えられるはずだと今回、このような記事を書かせてもらいました。成熟時代において実存的虚無感を感じるのは自然な流れだと師は時代を観ています。同じように悩める皆様に寄り添えるよう、飾らずに等身大で届けていきたいと思います。

時代背景

dark-dawn-dusk-247305 (1)
お知らせ➤本を出版しました。実存的虚無感についても書いています
先程から成長時代・成熟時代と申しておりますが、時代の変化を皆様はご存知でしょうか?まずは、時代背景を理解しましょう。

成長時代とは

beach-beautiful-blonde-220418 (1)
ここでは成長時代の定義は【人口が増加している時代】とします。一般的に 国の経済成長率は、労働力の増加・資本の増加・技術の進歩の3要素で表され、「労働力の増加」と「資本の増加」は人口増加に大きく影響を受けます。新たなニーズも生まれることから「技術の進歩」も起こりやすくなります。成長時代は、高度成長時代やバブルの頃の右肩上がりに成長していく時代にあたります。人々の夢やビジョンは、比較的、金太郎飴のように、程度の差はあれ画一的な面がありました。「いい大学、いい会社、いい老後」という人生のレールを疑わずに幸せを目指せていました。

成熟時代とは

beautiful-beauty-fashion-713140 (1)
ここでは成熟社会の定義は【技術発達と情報過多、そして人口が減少していく時代】とします。人口が減少していくと「労働力の増加」は見込めず、消費者の数も減っていきマーケットが縮小します。「技術の進歩」も進むと、モノ・サービスの質も向上し、十分満足できるレベルに達し、インターネットなどでいつでも、どこでも購入できる利便性が増して、誰もがある程度満足できる社会となり消費意欲が下がってきます。成熟時代は取得できる情報量が増え、人々の価値観が多様化し、人々の夢やビジョンは個別化します。日本は2006年から成熟時代に入っています。

実存的虚無感とは

adult-black-and-white-person-972325 (2)
お知らせ➤本を出版しました。実存的虚無感についても書いています

成熟時代になれば「実存的虚無感」を感じることは必然です。成長時代のように、消費や所有に幸せを感じられなくなっていますし、生きることに困っている人がいません。生きることに精一杯で、明日死ぬかもしれないのであれば、私達は悠長に生きている意味など考えていられないでしょう。成熟時代を生きる私達は、生死を脅かされる不安がないから悠長に実存的虚無感に悩むことができるのです。実存的虚無感とは、「ここに実体はあるが、中身を伴わない」ことを言います。例えば、平和を望んで戦っていた兵士が、いざ平和の世界を手に入れると、戦いしか知らなかったがために、実存的虚無感に襲われるなどが当てはまります。

abstract-action-adult-825864 (1)
つまり、私達は先人達が求めてきた「幸せ」の定義にたどり着いたということなのです。先人達が思い描いた「幸せ」の物理的豊かさを手に入れてしまったのです。ものが当たり前にあって、学業も仕事も男女の差なく力を試すことができる時代です。コンビニよりまずい料理店を思い出せますか?おそらくそのような店は、淘汰されて何年も続くことはないでしょう。「安かろう悪かろう」ではなく、「安くて良い」ものが当たり前の時代に私達は生きています。物理的豊かさに優劣がつかなくなっています。そのような時代に、「〇〇があれば幸せ」という画一的な幸せ像はあり得ません。私達は精神的豊かさに目を向けざるを得なくなっています。
adult-beautiful-face-774866 (1)
そして、話は振り出しに戻ります。あなたにとっての精神的豊かさ、幸せは何ですか?精神的豊かさ、幸せは人それぞれ十人十色です。あなたがあなたにとっての幸せを定義できなくては、成熟時代において幸せになることはありません。幸せになることはないと言いましたが、幸せはなるものではなく幸せであることに気付くことだと活学では教えています。いかに自分が幸せであるかを気付けた人が幸せだということです。もっと幸せになれるはずだと信じたいという気持ちもよくわかります。ですが、幸せに満足できないその思いが実存的虚無感の正体です。自分自身が認められていない、自分自身に満足できていないのであれば、どんなことをしても虚無感が消えるはずなどないのです。

まとめ

blonde-hair-blurred-background-dress-852793 (1)
お知らせ➤本を出版しました。実存的虚無感についても書いています
こうすれば良いという答えを示せず、申し訳ないです。少しでも、皆様の思考に寄り添えたならば光栄です。最後になりますが、もう少しだけお付き合いください。同じように迷える著者がこの記事を書いたことで気づいたことをシェアさせてもらえれば嬉しいです。以前読んだ本に、人生は無意味だという本もありました。その本を読んでいたときに、著者の大学時代の先生は、「人生は無意味ではなく非意味なのだ」と教えてくれたのを今でもよく覚えています。意味が無いのではない、意味に非ずなのだと。意味とは、辞書的な意味ではこのように言われています。

行為・表現・物事の、それが行われ、また、存在するにふさわしい、価値。

今まですべてのことを踏まえて考えると、生きる意味を考えるということは、生きることに価値を見出したいという野心の現れなのかもしれません。くすぶっているエネルギーをぶつけられるビジョンがいずれ見えてくることを願って結びの言葉と変えさせていただきます。

あわせて読みたい▶▶「疲れた」「消えたい」「死にたい」と検索する人に送る、心を楽にする方法
あわせて読みたい▶何が楽しい?人生がつまらないと感じる社会人のために贈る!原因と改善法
お知らせ➤本を出版しました。実存的虚無感についても書いています